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袴田 めら

それが君になる

それが君になる (IDコミックス 百合姫コミックス)それが君になる (IDコミックス 百合姫コミックス)
(2010/10/18)
袴田 めら

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 「会長と副会長」でも書きましたが、袴田作品に見られる「薄い黒さ」というものが、しっかりと読み取れる内容です。
 絵柄に相反する、キャラクターの持つ「極僅かなギスギス感」が、雨音さん側から感じられ、読者を引き込むでしょう。
 それはいままで紹介させていただいたとおりです。

 それとは別に、もう一つ袴田作品で顕著であるのが、セクシュアリティを連想させる場面があるという部分ではないでしょうか。

 誤解を前提にあえて書くと、セックスや、性的特質を意識させることがあるように感じられるのです。
 (そういった部分から、最も遠い作家だという印象を持つ方が多いとは思います)

 それは、キスシーンや濡れ場の直接的な部分からではなく、ちょっとした表情、ポーズ、極端な話「座っているだけ」等の外堀であるはずの場面から、連想させてしまうような気がするのです。

 ただし、べっちょりとした厭らしさや卑猥さを伴うものではありません。
 甘美な方向のものではなく、どちらかというと「痛い」という意識を抱きます。

 例えば、森永みるくさんの書かれる様な「幸せだとか、嬉しさ、気持ちよさ」を感じることは皆無です。ひたすら「痛い」印象を抱きます。(そもそも作風が全く違うのでフェアな例ではありませんが・・・)

 この「痛い」というのは「精神的に未熟である」という場合に使うものではなく、言葉どおり意味する「肉体的な痛覚」のことです。
 これは、セクシャルなものに絡みつく「女性側が強く感じる汚さ、恐れ」が根底にあるのかもしれないですね。

 こういった「後ろめたさ」のようなものを上手く表現している作品は沢山存在します。
 ただ、ありきたりな方法論ではなく、また大袈裟にそれを主軸に掲げるのでもなく、袴田作品は、それを「僅かに感じられる程度」という微妙なラインで表現している部分がオリジナリティになっているのではないかと・・・。
 特に絵柄が柔らかいムードで統一されているので、そのギャップも上手く作用しているのかもしれません。

 「微妙な後ろめたさ、胸が張り裂けそうな感覚、セックスの肉体的な痛さ」一言で表現するなら、それを「せつない」と呼ぶのかもしれません。
 けれど、個人的には「せつない」よりも単純に「悲しい」とか「ギスギスしている」という表現にしたいかなと・・・。

 それを踏まえると、一見ただのハッピーエンドなのですが、それでけでは終わらない奥深さを説明できるのではないかと考えました。
 殆ど、勝手な思い込みではありますが・・・。ごめんなさい。

 とりあえず、私がファンだからという部分を差し引いても、もっと沢山の人に読んでもらいたいなと思います。
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袴田 めら

会長と副会長

会長と副会長 (IDコミックス 百合姫コミックス)会長と副会長 (IDコミックス 百合姫コミックス)
(2010/09/18)
袴田 めら

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 今回も袴田節全開で、期待を裏切ることはありません。

 この物語、袴田作品で見られる自由奔放型の人物(如月や望月系)が会長として設定されています。その人物が副会長を好きになり、お話しが進んでいくのかと思いきや・・・。実は、全編通して副会長側の目線からのストーリーなのでした。
 受け的意識の強い人物が主人公なので、モヤモヤとしたもどかしさが強く、小骨が喉にひっかかるような印象を抱きますが、細かなエピソードの積み重ねで説得力を確保していきます。
 なんというか、小細工無しで心の動きのみを書き上げた感じですね。

 会長と副会長なんて現代萌え的なタイトルですが、70年代少女向け百合作品のように細やかで丁寧な作品とでも言えばいいのでしょうか。
 それでいて、ほんわかとした絵柄の中で見せる、飄々とした一瞬のドス黒さという袴田節が見事に展開されていきます。

 きっと、奇麗事だけではすまさない。すまされない。という強靭な芯を常に持ち続けているのでしょう。
 それが会長側の吐露に形になっているのだと思います。そして、それでも答えずにはいられない副会長。
 その屈折した揺らめきは、袴田作品に常に見え隠れするものだと思います。

 ほのぼのした絵柄で覆い隠された中で見る、消えかけの篝火のような狂気。
 紙一重の「天国か地獄」のような世界を淡々と見せる・・・。

 普通に意識すれば絶対に感じない程度のものですが、その意識しなければ感じ取れないという部分が絶妙なのだと思います。

 私がこの方の作品を追い続ける理由が、全て詰まっている気がしました。

袴田 めら

わたしの大切なともだち 3巻

わたしの大切なともだち(3) (アクションコミックス)わたしの大切なともだち(3) (アクションコミックス)
(2010/04/12)
袴田 めら

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 全三巻完結。既刊の紹介。

 1~2巻の紹介で書いていたことが、概ねそのまま当てはまる内容でした。
 作者は、前作の「暁色の潜伏魔女」から百合成分をソフトにしているようなので、それを求める方には弱いかもしれませんね。ただ内容はスッキリとまとめられているので、純粋に読み物として楽しめるのではないでしょうか。
 全体を通して一般性をも取り込んで、読者層の拡大を図った意欲作のように感じられます。

 後半のストーリーの動き方は今までの作品と同様で、少しばかり端折り気味というか、小細工無しでストレートに展開されていきます。まさに袴田時空という感じでした。ここまでくると様式美とすら言えるかもしれません。
 最後の制服などを読んだ方はわかると思います。一気に駆け足になる感じですね。

 周囲に配置されたキャラクターに不完全燃焼のようなものを見てしまうのかも・・・。
 これは「潜伏」でも同じだったのかもしれません。

 展開が余りにも予想していた通りでしたので少し驚きましたが、やはり記憶喪失中の人格は消えてしまいましたね。
 乙一氏の「暗黒童話」を彷彿させますが、とにかく切ないです。
 
 あれをそのまま宇宙人というか、異世界人のように判断するのかは、きっと読者の判断に委ねられているのだと思います。
 設定としては面白いですけど。

 消える為に生まれてきたような仮初めの命でしたが、しかし彼女のおかげで二人は仲直り出来たとも言えるので、なくてはならない存在だったともいえます。
 消えてしまった彼女は、橘という存在が海老澤さんのことを好きだったことを十分に理解しており、二人の仲が必ず元に戻るであろう事を予測していたんでしょうね。そして自分が消えてしまうことも・・・。
 海老澤さんには、絶対に忘れてほしくないです。消えてしまった彼女の存在を。

 ※※※

 学校パートが明るく書かれているので、読後は爽快感を抱きそうです。
 こういった「ライトスタッフ」のような、目的を持ち前進を続ける若者達の物語というのは普遍性があるので、いつの時代にも受け入れられる可能性は高いですね。

袴田 めら

わたしの大切なともだち

わたしの大切なともだち2(アクションコミックス)わたしの大切なともだち2(アクションコミックス)
(2009/12/12)
袴田 めら

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わたしの大切なともだち 1 (アクションコミックス)わたしの大切なともだち 1 (アクションコミックス)
(2009/05/12)
袴田 めら

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 2010年1月現在で2巻まで刊行。続刊。

 二巻に入ってから、かなり百合っぽい展開が見られるようになってきました。
 友情属性のほうが強い展開ではありますが・・・。タイトルからして「ともだち」ですから。
 特にエビさんが橘さんに抱く思いからして、友情という側面から考えたほうが納得できる部分が多いですしね。

 恐らくなのですが、どちらかというと記憶を無くす以前の橘さんのほうが特別な感情を抱いていたフシがあります。そして、エビさん以上に傷ついていた可能性があります。八方美人気質の自業自得な結果なんですけれど。

 大切な思いを取り返そうとしていた橘さん。
 彼女の、記憶を失ったから出来てしまう計算の無い行動には、共感を覚えるかもしれません。
 本能に根ざした行動は、どのような結論を見せるのか・・・。

 記憶喪失ネタでの最大の山場は、やはり記憶が戻った時の「喪失時の人格」の扱いにつきます。
 以前の記憶が戻ったと同時に「喪失時の人格」が消えてしまうパターンは例外なく切ないラストをむかえるものが多いですよね。
 これは一人の人間の中に別人格を存在させる為に最も使いやすいプロットであるのか、よく見られるパターンではあるのですが、故にラストに対する期待感が膨らむものでもあると感じます。

 前作の「暁色の潜伏魔女」では、三巻に入ってから設定や複線を生かせぬまま唐突に終わってしまいましたが、今回は大丈夫な予感がします。
 楽しみですね。

 そうえば、この物語には、袴田作品には恒例の「性格の破綻したキャラクター」が出てきていないですね。
 そういう意味でもかなり読みやすくなっていると思います。

袴田 めら

最後の制服

最後の制服 1 (1)最後の制服 1 (1)
(2005/06/27)
袴田 めら

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 全三巻完結。

 短編形式で進む前半は本当に素晴らしく、三巻に入ったところで急に失速して消え入るように終わっていく。という印象を抱いた方が少なくないかもしれません。

 実際、二巻までは様々なキャラクターの表情や動きが生き生きとしていて、ダイナミックに動き回っているような気がします。

 しかし、三巻の中盤あたりから、共感できそうもないモノローグが続いたりします。
 その時になって気がつくことでしょう。

 「ああ、この子達はなんてバカなんだろう」「なんて性格が悪いのかしら」と。

 大抵の場合、性格の良い悪いの判断というのは、単に自らの中にある価値観に当て嵌めるだけの作業でしかありません。希薄なままでいいというのならば、一緒にいて気分が悪くならなければ、それで十分というレベルでしょう。
 けれども、誰かと一緒にいるということは、それだけではすまなくなってくるのです。

 袴田作品に多く出てくる「性格の悪い」や「思考が浅はかな」な女の子というのは、逆に非常に現実的なんですよね。
 意図的に作り出された、性悪な人間とは違う現実感を持っているのです。
 なぜなら正確には「性格が悪い」というよりも「未熟」なだけだからです。

 「私、この子にしようかな、寄りかかって、好きになってもらって」なんて、とんでもない台詞ですよね。こんなバカな思考を持つ人間なんて、そうそういるものじゃありません。成熟しきっていない子供でもない限り…。
 でも、考えてみてください、思慮に乏しくて当たり前なんです。制服を着た子供達なのですから。

 相手の都合や気持ちも考えずに、こんなこと考えてしまうのは若者の特権ではないでしょうか。
 立ち位置が自分本位で、物差しが狭いのは、単純に経験がないからにすぎません。そんなものは社会に出れば嫌でも経験できることですから。

 けれど、それは後になって言えることなのです。
 彼女達は、その瞬間を必死で思考しているはずなんですよね。だからこそ、自分本位であり相手の迷惑になろうとも、突き進んでしまうのです。
 そういった感情を、私達は忘れてしまっているだけなんですね。

 キャラクターの気持ちを最後まで書ききれなかったのか? と問われると、私はそうではないと言いたいところです。
 
 彼女達は「未熟」ではあっても、絶対に「悪人」ではないのだから。
 彼女達には、まだまだ先があるのだから…。未来があるのだから…と。

 そして「紅子と藍」側からだけではなく、もう一度「紡と楓子」側からも物語を追ってみてください。特に、後半影の薄くなってしまった「楓子」の気持ちは置き去りされがちですが、印象が変わってくるかもしれません。
 袴田作品は、この構図と対比に関して本当に絶品だと思います、

 (袴田ファン必須です。
プロフィール

すみれ

Author:すみれ
 百合漫画、百合要素のあるものを紹介するブログ。それ以外のものも若干あります。

 評論、レビューではありません。とりとめのない話です。

 アフィリエイト等のクリック数を稼ごうとするサイトではありません。

 あくまで個人的な感想であり、他に異を唱えるものではありません。

 紹介作品は新旧まざっています。探したい作品があれば「全ての記事を表示する」を使ってください。

 ものによっては大幅なネタバレがあります。

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