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百合物件

マルスのキス

マルスのキス (PIANISSIMO COMICS)マルスのキス (PIANISSIMO COMICS)
(2008/02)
岸 虎次郎

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 定評のあった絵柄は健在ですね。週間連載という過酷な状況ですら評価を得ていたので、上手さは筋金入りです。
 おそらく全ての線がサインペン(CG)だと思うのですが、本来表情の出難い線だからこそ独特の絵柄になっているのでしょう。

 この物語では、所謂「優等生」と「コギャル」のステレオタイプな見た目の対比と、対立がわかりやすく書かれています。
 ただ、そのギミックだけではなく、物語が進めば、その違いというのは「小さなもの」でしかなく、立場の違いというのは、結局のところ「個人の差」でしかないというところまで書いていたりするのが素晴らしかったです。
 
 そもそも、主体性が無いが故の「焦燥感」というのは、若者だけではなく全年齢に対して言えることです。
 そんな中で目的意識が無くても生きていける現代社会では、物品や姿形で自分を穴埋めするのは常套手段なのではないでしょうか。
 だから、由佳里が規則で禁止されているマニキュアを塗ったり、虚栄心を満たそうとセックスするのはありがちなことと言えるかもしれません。さらに家族関係の希薄さがそれに拍車をかけているとなれば、由佳里の行動は一般的とさえ表現したくなります。
 軽音に入っているという設定もありますが、恐らく楽器は弾けないのでしょう。練習に耐えられる精神力を持っていないから。
 何かを得たいと思ってはいても、行動を努力に割くことができないんですね。それもまた苛立ちに繋がることかもしれません。

 けれど、若者は暗黒面に浸かるだけではなく、それらを心の中で否定し流れを変えようとする力も持っていたりするものです。
 このままでは何も得られない、本当の自分を満たすことなど出来るはずがない、と。
 だから「優等生」という括りで登場していますが、どう見ても美人であり、且つ壁と戦う力を持った美希という存在に魅力を感じて当然なのかもしれません。

 そのやりとりで見せる二人の感情は、青春時期に感じる「はしか」のようなもので時期が過ぎればノーマルに戻るという、まさに古典的な百合だと思いました。
 由佳里は「美希の純潔を自分が…」とさえ言っていますが、二人はあくまで異性愛者であり、対象以外では同姓を好きになることはないだろうからです。
 対象が限定されるだけに、相手を思いやり好きだという気持ちが深まっているように感じさせられたのかもしれませんね。ビアンの世界は、そうとは言い切れないことが沢山ありますので。


 若者時代が光り輝いて見えるのは、やはり壁を登る精神力をかつて持っていたと感じるからでしょうか・・・。
 この作品を読んでいて、あらためて感じたのは「これを20歳の人間が読むのと、40歳の人間が読むのとでは全く感想が変わってしまうだろう」ということ。至極当然のことではあるのですが、やたらとそれを感じてしまいましたね。
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